イギリス陶器:ストーク オン トレント「バーレイ」訪問記

イギリス陶器
こんにちは、にゃんこ夫婦です。今回イギリス陶器の郷、ストーク オン トレントからご紹介するのは、ミドルポート ポッタリーのブランド「バーレイ」です。

バーレイ ってどんなところ?

バーレイが出来たのは1851年ですので、ウェッジウッドが出来た約100年後になります。バーレイが出来た頃のストーク オン トレントは、世界一の陶器産業地だったそうです。 陶器の材料の上質の粘土と、窯に火入れをするのに使う石炭が地元で豊富に採れたのがここが陶器の生産地になった理由だそうです。 この頃は、陶器を焼く窯が中に入ったボトルチムニーと呼ばれる瓶の形をした煙突が沢山街中にあって、そこから石炭を焚いた煙るがもうもうをと立ち込めて、空気も悪く、外に洗濯物を干すと灰が付いてしまうほどだったそうです。それだけ大量に生産しても売れていたという事ですね。下の写真は、バーレイの敷地内にある、この地域に現存するたった1つのボトルチムニーです。
バーレイは、イギリス人の人にとても人気があるブランドです。みんな、おばあちゃんやひいおばあちゃんから譲り受けたバーレイを持っている人も多く、ウェッジウッドより、絵柄が一色使いでシンプルなので、毎日の生活に使っている方が多いそうです。 日本では、ウェッジウッドほど認知度が高いわけではないと思いますが、陶器好きの人はご存知で、好きな方も多いブランドだと思います。 私がバーレイの事を知ったのは、コッツウォルズのウィンチカムという所にあったティールーム「ジュリス」でした。日本人のご家族の経営で、イギリスのベストティールームにも選ばれたジュリスで美味しいケーキとティーを頂くと、いつも青い花柄の可愛い食器で出てきて、わぁ良いなぁ、と思ったのがこのバーレイでした。

バークレーのファクトリーツアー へ

それからいつか、ストーク オン トレントにあるバーレイのファクトリーアウトレットでお買い物したい!とず~~っと思っていましたが、とうとう今回行くことが出来ました。前日に、午前11時からのファクトリーツアーの予約をインターネットで取りました。1人£9.50(約1300円)です。うちからバーレイの工場までは、車で約1時間の道のりです。工場の前のすぐ右側にビジター用パーキングがあります。
工場正面の壁には、バーレイの代表作の赤い「キャリコ」の模様が!
カーパークの真横にファクトリーショップの入り口があります。
中に入ると…。
思わず「わぁ~~!!凄い、バーレイだらけ。(当たり前ですよね。笑)」といってしまいました。素敵なディスプレイです。
この食器棚は、イギリスの古い定番の形の棚です。オークやパインの木で作ってあります。これが置ける、広くて素敵なカントリー調のキッチン…憧れます。

バーレイとチャールズ皇太子との関係は?

エリザベス女王の長男、プリンス オブ ウェールズことチャールズ皇太子のお写真が。
チャールズ皇太子は、ここバーレイのパトロンです。財政危機と施設の老朽化で倒産寸前だったバーレイを「バーレイ はイギリスに取って、とても大切な企業だから、無くすことは出来ない。」と彼のリジェネレーション トラストから900万ポンド(約12億6000万円)の資金を得て2014年に再建されました。 その時に、ビジターセンターやカフェ、ファクトリーツアーなど来場者のための設備も作られました。私はポッタリー(窯元)に行って、もしそこにファクトリーツアーがある場合は、必ずそれに参加しています。そこの陶器がどういう風に作られているのか?どんな人達が作っているのか?というのが解ると、その陶器を使う時に全く違う気持ちで使うことが出来ると思うからです。 買う時には、ちょっとお高いわね…と思うのですが、ファクトリーツアーの後では、あんなに沢山の人が、手間をかけて丁寧に作っているのだからこれは適正価格だなぁ、と思えるのです。それが、ファクトリーショップのセカンドグレイド品だったら安い!となります。

ファクトリー ツアーの始まり

(笑)11時前になりました。ツアーの始まりです。今日は、全部で8名参加でした。(1ツアーは、定員10名です。)火曜日の午前中でしたので、参加者はみんな年輩のこの地域の近くに住んでいる人ばかりでした。ツアーは、2つあってまず午前中は、ファクトリーの中のツアーです。
この記念プレートによると、2014年6月24日にチャールズ皇太子が再オープニングセレモニーをしたようです。ガイドさんのお話だと、皇太子は、毎年4回ぐらいはここに来るそうです。多くのスタッフの名前までご存知だそうで、工場の端の端まで歩き回って、あれこれみんなに話を聞くそうです。ここではみんなに愛される自慢の社長さん、みたいな感じの存在なんだなぁ、と思いました。ただお金を出してお終い、ではないんですね。素晴らしいですね。
ツアー中は、なんとどこでも撮影OKでした。凄い太っ腹です。このガイドさんの横にあるビニールシートに覆われたものが陶器の材料、粘土です。昔は、山から切り出した粘土を練って、濾して、このように棒状にするのもここでやっていたそうですが、現在は専門の粘土屋さんからこの状態で仕入れているそうです。工場では、これのことをソーセージと呼んでしました。確かに巨大なソーセージですね。
これも違う形の粘土です。
その粘土を色んな形の型に入れて形を作ります。これはティーポットかな?
これは柔らかくした粘土を入れて固める型です。大きな器やポットなどです。
粘土を入れて、一晩置いておくと乾いて型からはずせるそうです。
大きなキャセロールポットの蓋。取っ手が付けてあります。
型から出したものを濡れたスポンジを使って端や継ぎ目を滑らかにしている場所です。
ソーセージを切って平たく伸ばし、それをお皿の型に乗せて形を作っているところです。これを乾かします。暖かい風が吹いている部屋でした。

1回目の窯入れ

粘土が乾くと、次は1回目の窯入れです。焼く事によって、デコレーション(絵付け)が出来る状態になります。ガイドさんの後ろにある食器が、横にある棚に収められてそのまま窯に入れられます。
粘土状態から一度焼かれて素焼きが終わったものを「ビスケット」と呼んでいるそうです。ザクザクして割れやすいかなかな?なのでこの素焼き用の窯をビスケットオーブンと呼んでいるそうです。窯から出されて、棚で絵付けを待つビスケット達です。
ジャグ、ティーポット、マグカップ、お皿など沢山!ビスケットの状態では、一応硬くはなっていますが、水などを入れるとしみて流れ出してしまうそうです。
美しいバーレイの食器になるのはいつかな?
ここが素焼きの終わったものに柄を付けているところです。
バーレイの絵付けには「銅板転写」という方法が使われています。銅板にトントンと金槌で柄を彫って原板作ります。それを筒状にして(下の写真)その型にインクを塗り、薄い紙に印刷します。作業部屋のあちこちに銅板転写された柄の紙がぶら下がっています。
その柄のついた紙を、貼るものの大きさに切って貼り付けていきます。カップやポットなどの丸みがあって立体的なものに平らな紙を貼り付けるので、この工程はとても難しいです。お皿や裏側のブランドラベルなどは比較的簡単だそうですが、ティーポットなどはとても難しいので、ベテランの人でないと出来ないそうです。
柄紙が貼られたら、その紙をブラシなどでひたすら擦ります。そうすると柄がビスケットの方に馴染んで柄が定着するそうです。力仕事です。ブラシ作業の方の右手には、サポーターが巻かれていました。
柄紙がぴったりと貼られて定着したものです。バーレイの食器が1つづつ全部柄のつき方が違ったり、柄が場所によってズレているのは、この銅板転写法の為です。この銅板転写の方法は昔は良くありましたが、余りにも手間がかかり、非生産的なのでみんな辞めてしまいました。現在も銅板転写方で陶器を作っているのは、世界でもバーレイただ一社だけです。
この後、付けられた柄を定着させる為にまた窯に入れて焼き付けをしますが、その前に紙を外します。一見、普通の食器洗浄機ですが、紙が上手く取れる洗浄剤を使っています。
そして、二度目の焼きが終わったものにさらに釉薬を吹き付けます。その後もう一度(3回目)焼くと、洗ったり、擦れたりしても柄が落ちず、半永久的の色と柄が陶器に残り、陶器も丈夫になります。釉は、ピンク色ですが、焼くと色はなくなるそうです。釉薬にピンクの色が付いているので、吹き付けた濃さがわかるそうです。
そして、もう一度高温で焼き付けて出来上がりです!

3回目の焼き入れを待つカップ達

最終検査を受けている陶器達です。
これで午前のツアーは終わりです。バーレイ大好きな地元のおじさまガイドさんの案内で凄くバーレイの知識が増えました!1時間半ぐらいの所要時間でした。

午後のツアーの前にお昼ご飯にカフェに向かいます。

カフェの中もいい感じです。
カフェの壁に描かれているのは、バーレイの食器のシリーズで人気のウィロー(柳)です。中国の物語をモチーフにしています。ランプシェードもティーポットの形でした。
メニューは、ベイクドポテトのツナマヨ添えとスコーン。飲み物はラテとティにしました。
器が良いと食事が美味しい、と言うには本当ですね。気分が違います。カフェの裏にはみんなが座れるお庭があり、横にはカナール(運河)が流れています。
トラックの輸送が無かった時代は、このカナールを使って出来上がった陶器が船であちこちに運ばれていたそうです。

午後のツアーの始まりです

午後のツアーは、バーレイの工場のシステムがテーマです。

まず入ったのが、ボトルチムニーの中です。

唯一残っているボトルチムニーは、もちろん今は使われていません。中は暗かったので写真がありませんが、ボトルの中心部に陶器を入れる部屋があって、その壁の外側の周りにぐるりと石炭を入れて燃やす窯が付いていました。狭い窯の出入り口から思い陶器の入った箱を積み上げたり、下ろしたりするとても重労働の部門だったそうです。

次は、イギリス初のスティームエンジンシステムです。

この機械で工場内のいろいろな機械を動かしていたそうです。今は石炭ではなくて電気ですが、実際に動かしてくれました。とてもスティームエンジンに詳しいおじ様が説明をしてくれたのですが、専門用語が多くて詳しい事は理解できませんでした。残念!

次に見たのは、ごく最近見つかった施設です。

2017年11月28日オープンの「バースハウス」です。えっ?お風呂!?
このバスルームの部屋は、半地下にあるのですが、窓も外側が煉瓦で埋めてあって誰もここに部屋があるのを知らなかったそうです。今はちゃんと階段が付いて入りやすくなっています。
ある日、建築の専門家がここの部分がおかしい、中に空間があるはずだと、と言って調べたて煉瓦の外壁を壊したところ、窓が出てきたそうです。そしてその中に見つけたのは、洗面所とお風呂場でした。
ポッタリーは、とても汚れる仕事なので、こういう洗面所とかお風呂場があったのでしょうね。古い会社の記録を調べたところ、仕事がお休みの日曜日には社員の家族にもこのお風呂場が解放されていたそうです。当時、家にはシャワーやお風呂場というものはなかったので、この社員サービスは喜ばれたでしょね。それから、第二次世界大戦の時にはここは防空壕に使われていたそうです。それで窓も煉瓦で閉じられていたのでしょうか。
昔の人々の生活を感じられる興味深い展示でした。

次に行ったのは、バーレイの歴史とも言える場所でした。

「モルドルーム」型の部屋。今までバーレイで作られた石膏製の型が置いてある部屋です。
とにかくたくさんありました。お皿やポットの他に凝ったものも沢山ありました。これは、ロンドン塔にいるビーフィーターです。
エリザベス女王が即位した時のもの。
チャーチル首相。

最後に行ったのは小さなミュージアム

最後に行ったのは元々はオフィスだった所を小さなミュージアムにしてある所です。全部で4部屋あって、1番奥に古いバーレイが展示してある場所もありました。「ジャポニカ」という日本の陶器からインスピレーションを受けて作られたシリーズもありました。写真はダイレクターズルーム、社長室の中にあったタイプライターです。
代々の社長さんの肖像画や、あちこちに素敵なキャビネットがあって、古いバーレイの陶器が入っていました。一部コレクターからの寄付の品物もありました。

最後にファクトリーショップにあったバーレイ達です!

これでツアーは、終了です。 ちょっと足は疲れましたが、とても有意義な時間でした。最後にファクトリーショップにあったバーレイ達をご紹介します。バーレイらしいブルーの洋ナシの実がなっている木の枝に鳥達がとまっている絵柄です。プリンスチャールズのコッツウォルズのテッドベリーにある私邸、ハイグローブの名前がついたシリーズです。
サンザシの花がモチーフに使われているアーデンシリーズの青と水色。
1番人気のキャリコシリーズのグレー。最近のイギリスは、家のインテリアはグレーが人気ですので、そんなお家に合いそうですね。
とてもクラシックなブルーウィローシリーズ。1860年代に大流行したオリエンタルな図柄です。
小花模様のフェリシティ。これは紫とピンクの物。
孔雀模様のリーガルピーコック。ビクトリア女王の孫にあたるジョージ5世とメアリー王妃の為に作られた絵柄だとか。
優しいピンク色のアジアティックフェザンツ。
ロンドンのピカデリーサーカスの近くにある王室ご用達の食品店、フォータム&メイソンの為に作られた食器類。
今までバーレイは、ティーカップとポット、ケーキ皿だけは使っていましたが、今回カフェで食事にも合うなぁ、と思ってベークドポテトが入っていた形の深皿を手に入れました。活躍しそうです。世界でたった1社しかしていない銅板転写で作られた、手作りの器のバーレイ。是非訪れてみて下さい。
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